11日、セシオン杉並にて「認知症ケアセミナー」が開催されました。
社会福祉法人 浴風会 認知症介護研究・研修東京センター主催で、
研究成果報告会として一般の人にも公開されています。
3時間半という長時間の報告から、一部をご紹介いたします。
認知症という病気は、まだまだ原因特定が難しい状況です。
しかし、予防するには何が効果的かが見えてきています。
最初の研究報告は、副センター長兼研究部長の須貝佑一先生。
「見えてきた認知症予防への道筋」
~杉並区高齢者の調査研究事業から~
9年継続の頭の検診でわかったこととして、3つ挙げられました。
詳細は省きますが、まとめから引用させていただきます。
(引用開始)
・高齢者の認知機能は衰える一方ではありません。
・軽度認知障害の人でも回復はありえるでしょう。
・物忘れの心配は杞憂のことも多く、相談が安心。
・頭を使う日常と運動は認知レベル維持、向上に役立ちそう。
(引用終わり)
続いての報告は、研究部副部長の永田久美子先生。
「認知症になっても安心して暮らせる地域をつくる」
定義を引用します。
「認知症になっても初期から最後のときまで
一人ひとりが安心して暮らせる地域を築くために
様々な立場の人がつながりながら支え合いを実践する
地域に根ざした一連の取組み」(引用終わり)
すでにご存じの方も多くいらっしゃいますが、国の施策として
厚生労働省は2005年から2014年までを
「認知症を知り、地域をつくる」10か年キャンペーンを
行っています。
各地域でも認知症サポーター講座が開催され、
オレンジリングをお持ちの方もたくさん増えてきています。
しかし「地域をつくる」という点ではいかがでしょうか。
永田さんのお話では
・多くの自治体が認知症地域づくりのビジョン、目標、計画を
策定していないこと。
・当事者の把握を実施していない自治体が多いこと。
他にも様々な報告がありましたが、全国的に少数の自治体しか
認知症になっても安心して暮らせる地域づくりが進んでいません。
この厳しい現実を、一般の私たちはもっと知らなくてはならないし、
自分の地域をどう育てるのかを、誰かがやってくれるのではなく
今から一人ひとりが模索しなければなりません。
すでに10年、地域づくりに取り組んできた自治体もあれば、
まだスタートラインにたったばかりの自治体もあるのです。
地域として、認知症や高齢社会へのビジョンを持ち、
それを行政や医療・介護の専門職だけではなく
住民も共通認識として共有している。
これからの地域社会に求められる重要なテーマです。
地域の連携が育っているところと、そうでないところ。
これからは地域格差が明確にあらわれてくるかもしれません。